逆目の本の修理
先週は、昭和初期の本のリフォームを納品した。専門用語だらけで書いてみる。
本文、扉などすべて逆目で、さらに抜き綴じなので、背から破損してしまっていた。
折丁にばらして、乱れた背側の折れをプレスで直す。
足をつけるのは、つけられる相手の紙の方も水分をやって伸ばした状態で行って、板の間でゆっくり乾かす。こうすることでのど側の紙の波うちを防ぐ事ができた。丸みだし前の仮固めはせず、そのまま丸みをだし、バッケ板で締めただけで、ハンマーでたたかずに、背固め。
よく読む本、ということなので、開きはよくしたい。花ぎれは3段編みだが、芯を麻ひもの表面をボンドで固めただけの可動のあるものにし、折丁の真ん中に糸をさすようにして、背の動きとよく連動して動くように。
気軽に手にとれる丈夫なリネンのクロスにプリントゴッコ(いよいよ製造中止ですねサプライも)でタイトル。
箱は簡単で軽い感じの折り箱。
少しずつだけど、リフォームの時の自分の型みたいのができていってる感じがする。
コメント(4)
ykom :
抜き綴じの本は背がより壊れやすいという事なんでしょうね。
気軽に手にとれるという事と日本の気候を考えると
リネンのクロス装というのは、いい感じに思えます
本の場 :
この辺の時代の本、何冊かリフォームしたことがあるのですが、元の本は、多分手間を省くために、綴じ穴が少なく、抜き綴じの場合、開いてるうちに天地側ののどがはずれ気味になって折れたりしてます。使うためのリフォームなので、綴じ穴の数を増やして(天地を小口に近い位置に、真ん中にも一つ)こういうのを防ぎ、新たな綴じは糸を細く(今回は30番の麻糸を1本抜いて使いました)して総かがりに直しました。
ykom :
細めの麻糸が手に入りにくいです
40番があると良かったという事でしょうか
50番のトジロンは使いたくないし、使いにくいです
本の場 :
今回30番を抜いて使ってみたのですが、3本よりのうちの1本でも十分強さがある印象なので、これも一つの手かな、と。より細いのが必要な時は、私は麻にこだわらず、ナイロンなどの糸を使います。まあ、麻が使いやすいのですが。ナイロンやポリエステルは丈夫ですが、ビヨーーンとゴムみたいな雰囲気なので、とじてて気持ち良くないし、締め過ぎに注意です。
コメントする