本の場:●本の場● 山崎曜 YAMAZAKI YO 手工製本家 メディアとして主役を降りて久しい「本」を、今までとは別の、美や造形として輝かせて、新たな「もの」として存在させたい。

段ボールキューブ - page27 -


P27_1.jpg
丸穴をどうする
小さい方の段ボールキューブです。こちらは特種製紙商事が売っているアーカイバルボードというphが中性に調整された、紙資料などの保存のために作られている段ボールを使いました。単に色がかっこいい、素材がしっかりしてるって理由で。
P27_2.jpg
丸穴をあけて、空間を内部に作ったはいいけど、そこをどう利用する?ってことで悩んでます。小さく四角く切った紙の四隅だけを丸穴のまわりにのり付けしてみましたが落ち着きがわるくてはがしてしまいました。
P27_3.jpg
雁皮貼り
結局大きめに切った、雁皮紙を少し水でしめらせておいて、四辺をのり付け。乾いてぴんっ、と張ったあとに余分を切り落とすことに。ほとんど、「障子」です。ヨーロッパ人に受けないかな。 あとで別の個体にグラシン紙も同様な方法で試したんですが、雁皮よりも、もしかしたらいい感じ。 この段ボールキューブ二つは自分ではかなり「発明」だと思うのですが、本を買ってくれた人はどう思ったんだろうか。

 

2008年9月13日 本の場 |

段ボールキューブ - page26 -


001.jpg
大きな段ボールを筋目に対して45°に切ったあと、表紙にするタイルをあてて、タイルの幅に切ろうとしてるとこです。長いアクリルの定規は掛け軸を作る時に使うもの。掛け軸は長いですから、180センチのものとか、ごく当たり前に買うことができて(表具の材料やさんで。これは大塚にあるマスミというお店のものです。)いいです。私には四六判の紙を切るのに重宝です。でも普通の日常で、そんな大きい紙を切ることはないですよね。そういうことに随分長く気づきませんでした。
002.jpg
タイルあてて切り込みを入れて行くところです。輸入タイル(スペイン?)は自然なカーブがつけてあるので、三角定規をいったんあてて、タイルを抜いて代わりに別の三角定規をあてて、とかなり面倒な切り方をしました。 本に掲載した説明ではタイルをあてて直接切ることにしてますが、ちょっと変則的な形になると、いろいろ工夫が必要。
013.jpg
丸窓に寒冷紗を貼ります。ボンドは横に置いてあるスプレー糊のふたが丁度よい径だったので、縁にボンドをつけて、スタンプみたいに、丸窓のまわりにぺたっ。
016.jpg
全体の合体は、各パーツに4箇所くらいボンドをぼてっとしぼって、引き出しなどの内側をつかって揃えながらやっていきます。ボンドのつけ方がポイントです。
006.jpg
合体してる途中で、照明器具みたいになんないかな、って思いついて、下からライトをあててみました。中に入ってるのはディズニーランドのまわりに生えてるヤシの木(?)の樹皮。 こういう展開もありか、と思ったけど、今のところ、その後の進展はなし。でも思いついた遊びはやっぱり実験してしまいます。かなり時間に追いつめられてても。 寒冷紗10枚の布目の角度もちゃんと均等な度数ずつ回転して貼ってみたんですが、もうすこし不均等な微妙ずらしの方が面白いモアレが出るかもしれない。

 

2008年9月 8日 本の場 |

切手の豆本 - page25 -


P25_1.jpg
切手を貼る豆本。小さいのでしっかりそろえて、しっかりCクランプで押さえてます。傷が付かないように木の棒を当てたりも。実は揃える時も、このような棒を2本使って、背と前小口に当てたりしてやってます。揃え、のような単純なことが、慣れないと上手くいかないこと、でもあります。
P25_2.jpg
揃えて、押さえてしまえば、糊入れはさほど難しくはないです。小さいので塗りにくさはあるけどね。こういうふうに道具の補助なしで、綺麗に作るとしたら、職人技です。「こんないちいちはさんでたら、仕事になんねーよ!」って職人さんには言われそう。沢山作るんだったらもう少し最適化した道具を考えるべきですね。
P25_3.jpg
表紙のプリント基板。クロスステッチは針を使うと、穴に通すのに太すぎちゃうから、糸の端をボンドでかためてやっています。見慣れた基盤は茶色っぽいものですが、この緑みがかったグレー、いいですよね。
P25_4.jpg
二つの表紙のステッチを終わるころ、こうやってはさんだらやりやすい、って気づきました。切手を中に貼るから、タイトルも切手型で、と思いつきました。 使い古しの切手の裏にプリントアウトしています。切手の色刷りサイズにデザインして、それをA4の紙に普通にプリントしてから、そこを切り抜いて、裏からはがせるテープなんかで切手を貼って、再度プリント。小技に、ちょっと「えへへ、どう?」って感じです。
 

 

2008年8月10日 本の場 |

封筒の本 - page24 -


P24_1.jpg
構造部分は2ミリくらいの薄手段ボール。たまたま、片面茶色の綺麗なのが段ボール箱があったのでそれ使ってます。表紙はアーカイバルボードという保存用箱など作る段ボール。普通の段ボールに比べたらかなりがっちりしてます。この「本」は封筒と段ボールだけでできあがってます。
P24_2.jpg
表紙の装飾に貼る白い紙(ハーネミューレという版画やってる人にはおなじみの紙)の裏、四方をそぎ落としたところ。デザインナイフや手術用のメスを使う作業なんですが、やっぱりかなり「慣れ」が必要。
P24_3.jpg
そいだ紙を表にかえして、ヘラでへりを押さえて丸みを付けたとこ。こうしておいてから、p43の右下の写真のような動きで貼ります。こうした貼り込み細工のことを製本工芸では「モザイク」と言うんです。これを習うまではモザイクって言ったらタイルとか割った石なんかでやるやつ、って当然思ってた。それとこれではやることがあんまり似てないので、始め習った時、名前に違和感でした。しかし、今じゃ逆にモザイクって言ったら革などの貼り込み細工というのが自分なかでは常識になってしまった。一般とのギャップが・・・。これではいけませんね。
P24_4.jpg
木の棒は1センチ幅で、小さくまん中辺に点が二つ鉛筆で付けてあるのがみえるかな〜。そいだ四角の紙をこの棒を位置ガイドにして背から1センチ、天地のセンターに貼ります。
 

 

2008年8月10日 本の場 |

カードメモ - page23 -


P21_1.jpg
カードメモを作っているところではあるのですが、作例を作ってるのではなく、p74の図を描くための写真です。自分としては、綺麗に作るための、楽をするためのセッティングですが、慣れない方にとっては「そこまでしなくても」という感じ。このあたりいつも悩まされます。
P23_2.jpg
ノートにまず、ざーっと作り方を、図いりで書いていきます。左上にあるのがそれ。それをもとに、実際の説明には、どの図が必要でどれはいらないのかを編集のOさんと検討します。ここでは実物でポーズをとって写真を撮り、図を描くための準備をしてます。仕上がった74ページの図ではカードの向きがひっくり返ってます。はじめイメージだけでかいてるのでよくあることです。
P23_3.jpg
この図も仕上げとは逆向き。この向きだとちょっと作業がしにくいのです。
P23_4.jpg
はと目を付ける穴をスクリューポンチであけてるとこ。 木の棒を下にかってやりやすくしてます。これも作例としては本にのっていない作品で、美篶堂での出版記念展には持っていった、ぽち袋をカードメモ仕立てにしたものです。
 

 

2008年7月28日 本の場 |

アルバムA、B - page21 -


P21_1.JPG
P.71の説明図を作るために使ったものです。こうやって、板の縁に幅に切ったクリアフォルダーを貼ってます。ポイントは天地の穴位置で、板のへりに白いマークがあります。目引きや穴あけを全くしないで綴じるのでこの位置を目で合わせるのが難しい。あ、今気づいたけど、天地にも位置合わせのためだけにクリアフォルダーはればいいんですね。こんどそうやろう。
P21_2.JPG
綴じ終わったとこ。
P21_3.JPG
写真や実物を見ながら書いた、鉛筆書きの原図。前回の本ではラフに描きすぎて仕上げてくれるイラストレーターさんにご迷惑おかけしたので、今度の本ではかなり、仕上げて(図の線をきっちり細い一本の線にして、意図を明快にします)から、イラストレーターさんに回します。仕上がり図などは実物から直接イラストレーターさんに描いて貰ってるものも有りますが、かなりの図はこうしてアナログな鉛筆書きをトレースして仕上げて貰ってます。この作業、実物を作るにましてきびしく長い道のりです。
P21_5.JPG
アルバムBの方の表紙です。反り止めのため、裏側を表と同じクロスで埋めているのがわかります(下になってる方)。本のP.73では紙を埋めるということにしてますが。 日付は、いつにしようかな、と思い、取りあえず、未来にしてみました。何の日かは秘密。白地、黒字ともプリントゴッコのスクリーンマスター。随分多用してきたプリントゴッコですが、とうとうこの間、製造をうち切ったそうです。用品のサプライはしばらくは有りそうですが。
 

 

2008年7月21日 本の場 |

アルバムA ハードカバー - page20 -


p20_01.jpg
グリーンの綿テープをA4の紙のへり5ミリくらいに貼っているところです。板の縁を利用して5ミリ幅で混合糊を塗り、長いままのテープを貼ってます。
p20_02.jpg
貼っては切り落とします。紙の縁に板をぴったりあて、それに定規をあてると、目で見てあわせなくても、紙へりぴったりに切れるので楽。切りっぱなしでちょっとけばけばするのが、花ぎれ的装飾的効果に。今思うと1〜2ミリ長めに残してもっとそれを強調すればよかったかも、と思います。
p20_03.jpg
かがり終わった所です。プララポルテの例で使った麻テープと違って、綿テープはふにゃふにゃだし他にも理由があって、かがり台に貼らないでとじるのはやりにくいです。クリアフォルダー利用という裏技を使いました。説明は「もっと自由に!・・・」の71、72ページです

 

2008年7月 7日 本の場 |

プララポルテ製本 - page16 -


p16_01.jpg
前著「手で作る本」の折り本(印刷して折っただけの状態)を仕上げ断ちしているところです。これはまず天の側を3ミリきりおとし、かつ直角をだしているところ。大きく見えてるのは曲尺を両面テープで三角定規にはったものです。 曲尺の内側を折り丁の背に引っかけ、3ミリと10ミリの幅定規を使って切り落とし代をどの折り丁も同じになるようにしてます。普通は天側を切るのは後ですが、このときは正確な直角を出してやったらどうか、という試しをしてます。
p16_02.jpg
穴あけガイドを使って、穴位置にマークします。
p16_03.jpg
下、スチレンボード、その下、寄せ盤です。マークの終わった折り丁に綴じの穴を目打ちで開けていきます。この場合、折り丁はすでに仕上げ断ちが終わっているのでばらばらになっているので、中の折りがずれたりしがち。寄せ盤の出っ張り(左上側のななめのとこ)にしっかり天側を揃えることによって位置が狂わないようにしています。指で挟んでるのは15ミリの棒。折りを垂直に開くためです。垂直にあけておいて、目打ちを45°に刺すと、背のど真ん中に穴があきます。
p16_04.jpg
綴じ。麻のテープは充分な硬さがあるので、こうやってセロテープで台にはっただけで、綴じることが可能です。かがり台に張れば楽に綴じられますが、テープが長く必要。
p16_05.jpg
ふた折り目で戻ってきて、最初の糸はしと結んだところ。 1折り目は見返し二つ折りをそのまま綴じてます。そのままでは紙1枚で弱いので、寒冷紗を10ミリはばくらいで貼ってみてます。しかしこの方法では仕上がりが良くなかったので、「もっと自由に!・・・」の中では別のやり方にしてます。
p16_06.jpg
テープの所ででてきた貼りで一つしたの渡る糸をすくって、模様になるようにしてます。この画像では下からすくってますが、「もっと自由に!・・・」では上からすくうように変えました。どっちでもいいですが、かがり台を使うと台自体がじゃまで、上からの方が多少楽かなと思います。

 

2008年7月 7日 本の場 |

ハードカバー みぞのない表紙 - page14 -


...
下に敷かれている白い紙、トンボが見えます。一応ボール紙の寸法通りにタイトルをillustratorでレイアウトしてプリントアウトしてます。それに実物のボール紙をあててサイズ確認をしてるとこ。ひたすら位置合わせの繰り返しです、実際の作業は。
...
表紙の素材、製本用クロスを寸法にカットしたのち、セロテープ(じゃなくて本当はスリーエムのクリアテープですが、)でマスクして、天地のブルー系の色を塗るところです。赤い印は、これの外側を塗るよ、というマーク。回転させたりしてるうちにわかんなくなって逆を塗るなんて失敗は意外によくあるのです。(ちなみにセロテープは厚いので絵の具が盛り上がりすぎて感じがよくないのでクリアテープ、です。)説明すると細けーという印象ですが、実際やってみると、「あ、だめ」とか「あ、これだ」とかどうしてもなっちゃう。作ってるひとはみんなそうだと思う。
...
中身の方は、見返し遊びを貼って、のど布貼って、寒冷紗貼ったとこ。寸法に背をべた貼りしたあと、のど布をコテで押し込んだところです。このコテは背に金線を入れたりする箔押しの道具です。「もっと自由・・・」のなかではステンレスの定規で押し込んでください、というふうにしました。
...
角切りガイドを使って、角を整然と切り落とします。2本見えてるのは2ミリの幅定規。
...
背をべた貼りしたあと、のど布をコテで押し込んだところです。このコテは背に金線を入れたりする箔押しの道具です。「もっと自由・・・」のなかではステンレスの定規で押し込んでください、というふうにしました。

 

2008年7月 7日 本の場 |

リボンにとじるノート - page12 -


...
割りピンをはめる穴を開けてます。カッターマットの上の白いものはスチレンボード(ハレパネとかミラパネ)5ミリ厚。ぷすっと刺さって一定の深さで止まるので穴サイズもそろうし、静かに作業できます。目打ちは長針カルコという大工さん(左官屋さん?)の道具の流用。
...
裏で広げた割りピン。このあと紙など貼って固定。多分幼稚園や小学校で使っていらい、割りピン使ったことなどなかったけれど、パピエリウム銀座いったらツヤのあるいろいろな色や、形も四角なんかもあって・・・たくさん買った・・・
...
見返しのマーメイド濃緑に寒冷紗を巻き込んだところ。巻き込んだとこだけのり付けしてます。

2008年7月 7日 本の場 |

布表紙の中とじノート - page 8-

 
...
これは作例作りではなく、角の寄せ方の図を描くためにポーズをとっているところです。一応美大出なのでデッサンはやったわけですが、すらすら描けるわけではなく、デジカメでいろんな角度から撮ったり、スケッチしたり、と苦闘しながら原図を作ります。
 
 

 

2008年7月 7日 本の場 |