プロフィール
こどもの頃に、本というものに惹き付けられた。
読むことも面白かったけれど「別世界がその中にある」という感じが、
「本」は特別なもの、と思わせた。
また、昆虫や植物が好きで、絵を描くのも好きだった。
昆虫博士や挿絵画家や絵本作家になれたらいいな、と漠然と思った。
高校以降は勉強ぎらいで、美術系の仕事で生きていきたいと思い、大学ではデザイン科に在籍。詩を書いたり絵本を作ったりもしていた。オブジェ的な本も面白いと思い作ってみた。しかし、文を書くのも絵を書くのも私の目標ではないことが、だんだんにはっきりとしていくところで、出版社に就職後、手製本に出会った。
デザイナーがコンピュータで仕事をするようになっていった時代に、私は手仕事で製本をすることを学んでいた。
そして、製本教室を始め、生徒さんたちや注文主のマニアックな要望をどのようにすれば形にできるか、という経験を積んだ。
電子書籍が普及してきた今、紙でできた普通の「本」というものが、類いなく美しい(=巧妙な)仕組みをもったものだということを、より強く感じる。
私は、美しい仕組みを持ったものを作りたい。
ならびに、仕組みを持った美しいものを作りたい。
そういうものであれば、それが「本」であってもなくてもかまわない。
私はそういう「製本」アーティストだ。
追記。
「本」以外に好きな仕組みは、「窓(ガラス窓、蔀戸、などなど)」「傘、折りたたみ傘」「屏風」・・・・「正座」(人間もたたむ)
しかし、何よりも、生き物の生きている仕組みに、呆然とするくらい感心する。
重力に対して身体を支える植物の根と茎の成長。日光を受け止める葉の出る位置の規則性や、保持するための立体構造の様子。飛ぶためのすごい翅をさらに巧妙に折り畳んでる甲虫、擬態と言われてる翅の模様、などなどなど。
同じ様な一つの細胞から「どうやって生きていこうか」と方向を定め、さまざまに分化し構築する自然の巧妙さと豊富なアイデアには、本当に圧倒される。(そのことを解剖や生物の先生方に説明してもらうと、そう思う。)
山崎曜 YAMAZAKI YO 製本アーティスト
- 1962
- 東京生まれ。
- 1986
- 東京芸術大学デザイン科卒
- 1988
- 同大学大学院修士課程修了
- 1988-90
- メルヘン社で編集、レイアウトなど
- 1989-90
- 池袋コミュニティーカレッジルリユール工房入門コース受講
- 1990-92
- 指月社、大家利夫氏の元で、工芸製本の技術を修得
- 1995-97
- 指月社に間借りして「手で作る本の教室」を開設
- 1997-
- 「手で作る本の教室」を実家に移して開始
- 1999
- イタリアの製本コンクールで100人の製本家に選ばれる
- 2000
- 初個展「飛ぶ本」(すどう美術館)
- 2001-
- 3年ごと「手で作る本の教室展」(世田谷美術館区民ギャラリー他)
- 2004
- 個展「オーダーメイドの本」手工製本人山崎曜の機能(アートスペースK)
- 2006
- 『手で作る本』(文化出版局)刊行
- 2006
- 個展「手で作る可能性」『手で作る本』出版記念展(美篶堂ギャラリー)
- 2007
- ワークショップ+個展「日々製本」(NUNO WORKS)
- 2008
- 『もっと自由に!手で作る本と箱』 (文化出版局)刊行
- 2008
- 個展「抜本的」『もっと自由に!手で作る本と箱』出版記念展(美篶堂ギャラリー)
- 2009
- 『和装本のつくりかた』 (二玄社、村上翠亭氏と共著)刊行
- 2013
- 個展「かげびょうし」(ギャラリーおかりや、銀座、東京)
- 2014
- 個展「クラブサンとルリユール」(マイコ・ミュラー氏演奏会とのコラボ展、カーサミア、成城、東京)
- 2015
- ワークショップ+展示 招待作家 香港ブックアートフェスティバル(JCCAC L0 Gallery、 香港)
- 2015
- ワークショップ招待作家 Book Art Biennial 2015(MCBA、ミネアポリス)
- 2015
- 個展「けはいのしくみ」(ギャラリーおかりや、銀座、東京)
- 2017
- 個展「みなも・あわい・うた」(ギャラリーおかりや、銀座、東京)
- 2017
- ワークショップ+個展「山崎曜 製本から生まれた作品」
(Book+、北京)
- 2017
- ワークショップ+展示 招待作家 香港ブックアートフェスティバル(JCCAC Gallery、 香港)
- 2017
- 和装本ワークショップ+講演 (West Dean College、 Chichester、England)
- 2018
- 個展「うわのそらを」(ギャラリーおかりや、銀座、東京)