山崎 曜 製本アーティスト

作品と展示

水彩紙画帖(MASAKO)

1992製本の設計と制作


大家利夫さんの工房、指月社でお世話になっていた時の作品。

時間の許すかぎり、伝統的なフランス工芸製本の形を、このようなプレゼント用(これは母への)の白紙の本で練習させていただきました。白紙とはいっても良質な水彩紙を表面が同じ向きになるように足をつけて綴じています。(通常の本よりもよほど手のかかる仕立て)表紙とその裏は子牛革、見返しの遊びは羊のスウェード。

装飾については、全盛期のフランス工芸製本の技法では金型から作るなど、私にとっては現実的ではないので、少しでもオリジナルで効果的な技法を求めて試行しました。

背の文字は革を貼ったものですが、内側の装飾は紙を貼ったもの(製本の装飾用語でいうと、オンレイのモザイク)です。彩色した色紙にボンドを塗ってそこにカエデの押葉を置いてプレスをして乾燥。葉っぱ自体は取り除いて、葉脈がきれいにうつった紙を切り取って周りを削いで薄くしてから貼っています。丸い感じの形は螺鈿。

外装は無装飾で、内側に(表紙裏)に何かをするということが、本を開けた時の驚きになること、保護されている部分なので、表よりも弱い素材を使うことができるということで気に入っていました。(動かしたことによって変化が現れる、というのはずっと変わらないテーマです。)



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