山崎 曜 製本アーティスト

作品と展示

本の中の世界

2007改装
179×109×14㎜

もっと自由に!手で作る本と箱」(文化出版局)のための作例。湯川秀樹著の「本の中の世界」(岩波新書)の溝なしハードカバー化。作りは「手で作る本」(文化出版局)に掲載したトーベヤンソンの本と同じ。この時、作り方を掲載しなかったため問い合わせが多く、2冊目の「もっと自由〜」に載せることになった。植物(ヒメジョオンかなにか)をスキャンしたものをプリントゴッコで刷り、天地の水色はマスキングして塗っている。
(以上、2014年6月記)

湯川秀樹はなんとなくの憧れの人。多分、物理学者が憧れの的だった気分の時代があったと思う。中間子の存在を予言(であってるかな?)した時かなにかのエピソードで、木漏れ日が揺れている様子を見ていた時に、そのことに感づいた、って描写があった記憶がある。そういうのってかっこいい。数式を解さない物理音痴にも詩的に伝わる気分がある。この表紙は、その木漏れ日の印象も、反映している。

私の2冊目の著書「もっと自由に〜」の時は、思い切り好き勝手に作例を作って満足した。作例に用いた既成の本にも全面的に自分の趣味を反映させた。この「本の中の世界」もその内の一冊。タイトルがそのものずばりだし、この本については、コラム的な文も書いみた。
(この本以外には、「ソラリスの陽のもとに」(スタニスワフ・レム著)と「本とその周辺」(武井武雄著)を、作例の箱の中身として写真撮りしている。)
(2016年7月16日記、7月31日修正)

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