夜のレッスンは、フランス人Aさん一人。今日は彼女のご主人の論文を製本したものを見せてくれた。ブラデル(日本のハードカバーというか上製、丸背、のスタイルの手製本。)。
そして溝のない、薄いけれども硬い表紙の小さなメモ帳も見せてくれた。これはアンボアタージュという類のもの(つまりルリユール、ではない)。
ブラデルは、耐久性ではなく開きやすさに重点をおいた、実用的なルリユール。開きやすい、ということは背が痛みやすいということで、耐久性に劣ることになる、ということを理解した。(耐久性に重点をおいた工芸的なルリユールは、ずーっととっておくためのもの。)
理解したよ。なんだか、とっても。
フランスに留学していた日本人から今まで聞いたよりも、分からない英語で聞いても、フランス人自身から聞いたら、理解した「気」がする。
自分のやってきたこと、やっていることは、
多分、
彼女達にとって、
製本ではないような気がする。
そしてフランスに留学していた人たちが多分伝えたいと思っていることが普通の日本人には伝わらない、その感じも、なんか味わえる気がした。が、うまく言えない。
先日ながめていて心にとまったフレーズが「本のつくり方」池上幸二郎著の68ページにある。
「大福帳や判取帳に代表される和帳(帳面)の仕立ては、製本屋の仕事ではありません。帳面屋があって、そこで専門に仕立てていました。
仕立て方についても、細かい規則はありませんから、気軽に、楽しく仕立ててください。ここでは雑記帳やメモ帳、俳句帳などに使える帳面も仕立てました。」
私は何者でもないな〜感をまた強く持った。
日本の伝統からも遠く、技術は知っててもフランスの伝統は知らないし、日本でそれが有効に使えるとも思えない。
現代の日本にものすごく正直に生きてる。
で、それでいいと思ってる。
行けるところまでともかく行ってみよう。
みんなちがって、みんないい。
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