2008年11月20日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
先月はいくつか本を直した。
一つは、背をネズミに齧りとられた大正から昭和初めのもの3冊で、見事に背固めのにかわが齧りとられている。多分ネズミにとって歯ごたえが良かったんだろう。全てのページを和紙でつなぎ直して、背表紙は失われているのであらたに作って、表紙とつないで継ぎ表紙にする。タイトルはもとの表紙や扉などからコピーした文字をシルクスクリーンで刷る。
もう一つはドイツの19世紀後半の本。使えるように直すのでいいならやりますよ〜と気軽にうけとってきたのだが、そんなに簡単じゃなかった。ちょっとみたところ、「ハードカバーの表紙の蝶番部分がぶっ壊れたのね、かならずこっから壊れるよな」と解ったので、そこつければいいんだね。と安易に思った。持ち帰ってからよくみると、溝が無いタイプ。(当たり前といえば当たり前なんだろうけど、なにしろ、私は経験が少ないから、古い洋書の直し。)そのまま、つないで元にもどしたのでは、また壊れてしまうのは明らか。もとの本が、これじゃあ壊れるよ、という作り。で一番開閉時に負担のかかってくる表紙の背と平のジョイント部分が早々に壊れたわけ。そこがとれてしまったために、中身(本文の綴じ、固めなど)はほぼいい状態で保たれている。なんか考えさせられる。で、どうするか考えた。せっかくの表紙はあまりいじりたくないし。結局外観は溝なしのほぼもとのままで、一旦はずした中身にクータという筒状の紙を背から耳、のど、までかなり広く貼って、本を開いたとき、中身が表紙の背から外れるようにして大きく開くような仕組みにすることに。1冊は15ミリくらい、もう一冊は40ミリくらいの厚さがあったので、どこまでクータを広くすればいいのか、手持ちの壊していい本で試作して、処置する。
これは厚い方の本
背もしっかり固めるし、クータという新たなものが加わるので、元の表紙のボール紙の背側を2ミリ程度切り落として、はまるようにしたりした。
どちらも、「修復」ではなく、壊れた本を使えるようにするという意図でしているリフォームだ。でも、糊や紙についてのもっと詳しい知識が必要だと思いながら、やってしまっている。(一応中性の糊、中性の紙などは使ってるのだが。判断がこころもとない。)
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