2008年12月18日|ブログ|個別ページ| コメント(2)
きのうは雨の中、根津の小林刷毛製造所へ。ほんとにひさびさに(私のように、使用頻度がそれほどでもないと10年位使っても全然平気です)。木の柄の豚毛のボンド刷毛3寸のを数本いただく。上の写真。すっきりしていい感じ。教室生徒さん用なのだが、やはり気持ちよく作業するにはこれくらいのものは本当は必需なんだよな。自分の本に載せたのは中国の安い油絵用の刷毛。気がひけるけど、そのページを見せながら奥さんとお話。たぶん中国の刷毛は毛先じゃなくて根元の太い方でそろえてるから毛先がばらけるんじゃないかとおっしゃってました。 原料の豚毛を見せていただきながら伺った(見てるだけで扱うのがむずかしそう。写真撮らせてもらえばよかった。どうせいつも携帯で撮ってるんだし)。豚毛そのものは10年位前からは中国からの輸入とのこと。私は以前東京都の皮革技術センターで革についての講習を受ける機会があってその時に、「豚革」は輸出もしている、東京都の地場産業だと知った。塩蔵された毛付きの豚の生皮からのなめしも実習でやりました。だからてっきりブラシなどによく使われてる豚毛も国産であると思い込んでいた。しかし、現在は毛を取る職業の人がすでにいない、とのこと。 小林さんの刷毛はとっても使いやすい。 だけれど一般の人がすぐには買いにくいと思うので、世界堂なんかで売ってる豚毛の油彩の刷毛を、本の中には載せた。 はじめはこの刷毛もよかったのだ。安いのにすごいなと思った。で、ワークショップの時にもっていくのに最適と思い、2~30本まとめ買いしたんだけど、これがひどいものだったのだ。苦情とかいえばよかったんだろうけどなんか言えなくて、でもくやしいので断裁機で毛先を切り落としてまっすぐにしてみた。(その使い心地たるや、毛先の大切さが身にしみる結果だったよ。)それでもしゃくなので、紙やすりで切り落としたところを削って、まあ、なんか、使えるようになった。 糊のことはいろいろ書いたけれど、そのパートナーである「刷毛」も本当に大切な道具。ローラーなんかと違って、使うのに訓練が必要です。でも、その分いろいろなことができるのです。塗るだけでなく、余分を取るとか、たくさんつけることもできるし、いろいろ。
刷毛は悩ましいですね
まあ、高いものはいい
平気で1万円くらいしますものね
(表装用の場合)
筆の場合、普通は平筆を勧めているようですが
イギリス人(コックラム氏)は丸筆を使用
上から押さえつけるようにして、筆の毛が
四方八方に広がるようにして使っていました
豚のボンド刷毛はそれほど高くないです。プラスチック柄のもので5寸でたぶん4000円位。木の柄のもプラのも耐久性は変わらない感じです。3寸のはプラスチック用の型を作るほど需要がないので木でやってるって聞きました。だいたい同じくらいの値段です。
普通は5寸くらいないとちょっとした量がある仕事がしづらいのです。教室ではちょこちょこした作業が多いのと、のりを出すバットが小さくてすむので3寸のに落ち着いてますが。
コックラムさんはそうですか。ヨーロッパではずいぶん丸い刷毛を使うみたいですね。それにはそれの使いやすさがあるって聞きました。
私は日本の平たい刷毛になれてるので、想像しにくいですが、平たい刷毛は薄めの糊をすばやく塗るのには適してるけど、べとべとの糊だとかなりの力を必要とするので、そこが丸刷毛の方がすぐれている点だと想像してます。