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『ハチはなぜ大量死したのか』ローワン・ジェイコブセン著
2009年7月23日|読んだ本|個別ページ| コメント(0)
知らなかったことがいっぱい。
まず、ミツバチというか、養蜂業の歴史。こんな発見や改良があって、上手に蜂蜜が採れるようになったんだ、ってことに始まって。
それが、加速度的に、大規模農業の、受粉に用いられるようになり、
大量生産、大量消費のただなかに置かれたミツバチの運命は、過酷化の一途をたどる。
受粉マシン、蜜製造マシン、として。
負荷がかかりすぎたミツバチは狂いだす。
この本の主題のCCDとは、ミツバチの群れが巣箱を置き去りにしてどこかへ消えてしまうことを言う。解説で、福岡伸一さんも書いてるとおり、それは狂牛病を思わせる。本来、草食の牛に、成長を早めたり、乳を沢山ださせるために、穀物と、もっとも安価で効率的なタンパク質である肉骨粉(同じ牛の病死のものとか肉をとったのこりの骨)を与え、と、経済効率から言って「正しい」ことを、追求していった、その結果、狂牛病という人間に及ぶ病が誕生した。
自然は長い時間をかけて、すべての関係の中で、生き物のさまざまな「生き方」を作りだしてきた。人間の「科学的」思考は、部分を見るのに適している。明快である。「原因は?」と考える。その「解決」が発見される。すっきり。
美しい、その秩序に、感動する。すごく感動する。
しかし、そうなのか?
いや、そうなのだ。人間の頭の文脈の上では。
ノーベル賞をとる科学の発見も、オリンピックで世界最速の男も、その文脈の上で「同じように美しい」ような気がしてならない。
いや。
話はもどって、アーモンドという作物がカリフォルニア?フロリダ?で近年のゴールドラッシュ的作物で、それは2月に花が咲き、その時期受粉できるための土着の昆虫がいないので、ミツバチの働きは非常に重宝されるのだが、本当はミツバチもまだ活動する時期ではないのを、コーシロップを与えてもう活動時期だよ、と勘違いさせ、労働させる。
そんなこと、全然知らなかった。
アーモンドが、少し前から、両親の食卓の横のタッパーの常備品であって、私もよくちょうだいしていて、何かに効くって言っていたな。っていうのはそういう経済の理屈だったんだな。前はずいぶん高級なイメージだったのが、近頃はそうでないのは。
先日いった、キャンプ場の夜の明かりに、虫が少ない。
虫が嫌いな人が多いから、よいことだろう。
しかし、私の小学生から中学生の9年間のうちに、夜の明かりに来る蛾をはじめとする昆虫が随分と減ったのを思い出す。開発が進んだからだ、寂しいな、と、昆虫好き(特に蛾)の私は思ったのを思い出す。が、問題は多分もっと深いところで、深刻に進行しているのだ。
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