大きそうに見えますが、文庫本の改装です。最近試作中の文庫改装。
文庫本の改装は何かと考えさせられます。(これは薄い地券紙芯、布は不織布のアイロン接着芯、見返しを厚めの紙にして、背は貼付けずにホローバック。最近上製でも薄い表紙の多いのは、なんとなく和本のイメージなのかな〜なんて思ったり。本棚に自立するのに最小の厚さがあればいいわけで。まあ、文庫はそのままでも本棚で自立しますが、サイズ的に)
自著2冊『手で作る本』(以下『手〜』)と『もっと自由に!手で作る本と箱』(以下『もっと〜』)中で(新書での作例も含めて)何種類かの文庫本改装を紹介してるのですが、これが結構問題。
最近になってメールでの質問やら、実際にうちにいらっしゃる生徒さんの理解を聞いているとそうか〜、となっています。
『手〜』と『もっと〜』では出来上がりの外見は同じ、実は全く違うやりかたを紹介してます。『手〜』p.28、p.29、p.31と、『もっと〜』p.7、p.10は同じ外見。
『手〜』の方は従来の製本のやり方にのっとったもので、一冊で作る時に便利かなという山崎なりのアレンジを加えた程度です。つまり、布地を薄い紙で混合糊(でんぷん糊+木工用などのボンド)を使って裏打ちし、全面にのり付けしてボール紙に貼っています。
一方『もっと〜』の方は従来の製本にはないやり方。NUNO WORKSさんでのワークショップ用に生まれたやり方です。上記の全面のり付けは作業中に反りがでるし、裏打ちは練習が必要な技法。慣れない方には、刷毛の扱いも難しいものです。そこで、プラスチックのヘラだけを使って折り返しの所だけにボンドだけを塗るやり方を考えました。裏打ちも手芸や縫い物ではおなじみのアイロンの接着芯。
二つのやり方は、それぞれ、いいところとそうでないところ両方あります。
この間はメールでの質問で、『もっと〜』の方のやり方で、見返しがしわになってしまう、というのがありました。
これは、直接的には見返し用紙が薄い、というのが原因と考えられるのです、多分。しかし、少し厚くてもある程度の手速さが求められる。構造部分の寒冷紗だけ、ボンドにして、周り(あるいは真ん中も両面テープという手もあります。両面テープなども最近は保存に配慮した中性のものがでてますし。
これらのことについては、また書いていこうと思います。質問のある方はメールでも書き込みでも、ご遠慮なくどうぞ。
解説,ありがとうございました。
なるほど~,そっかーと思い,今,さまざまなタイプの見返しを見比べてみました。
たしかに薄い方がしわになっている確率が高いです。レザックなどは,しわになってません。うん?里紙でもしわになるってことは,手際よくやってないってことでしょうね。。。薄くてしわになっているものと,厚くてしわになっているタイプと持参しますね。
にこりんさん、書き込みどうもありがとうございます。
そうなんです、多分、薄さが原因の一つだと思います。
そして、文庫サイズで見返しにそこそこ厚い紙(四六判で100キロ以上位)を使えば失敗がすくないのでは、と思います。
改装するものが文庫本じゃなくて大きくなってくると『もっと〜』の方のやり方では、もう一工夫必要かもしれないです。こちらのやり方では、文庫、新書しかやる機会がなく、試してみようと思います。
いずれにせよ、アイロン接着芯を用いた製本は、まだ進化の途上です。
むしろ、手芸関係やってるかたは、このようなこと考えられてる方がいるのでは?と思いました。私は製本育ちなので、その作業パターンから考えていってこうなってるのですが。