少し前に依頼された写真集の製本の工程を書く。
今回、自宅で両面に写真をプリントアウトするということで、ピクラトン局紙を使う、というのが、依頼者の希望。この紙は0.5ミリくらいの厚さがあり、普通の製本をしたのでは、紙が硬すぎてすぐに壊れてしまう、または、開かないで隙間からページを覗く、みたいな本になってしまう。
いろいろな対処法が考えられる。例えば、
1、糊で背を固めるのをやめ、ぐずぐずの状態のまま仕上げる。これは「手で作る本」の中で紹介した、ロングステッチなど。「普通の本」のイメージからはかけ離れたものになる。普通な感じの本にしたいという意向にあわない。
2、本文に脚(薄くて丈夫な紙)をつけ、そこに何らかの枕(厚みをだしたり、とじをするためのパーツ)をつけそこでとじる、というのもある。この場合、脚の貼り代がどこかに見えざるを得ない。両面プリントを活かしたいという意向にあわない。
で、普通にしながら紙の厚みに対処する方法ということでこんなことを考えた。
普段、綴じ糸として使っている麻糸20番を、綴じ緒として、かがり台に張る(製本で、糸で縫う時、普通「綴じ」というのだが、なぜか道具の名称は「かがり台」で、方法の名称も「本綴じ」でなく「本かがり」。この「本」は本格的なとか本当の、といったニュアンスの「本」。ブックって意味ではない。想像するに、いわゆる和本のような平とじのような糸使いは「綴じ」で、中とじのものを「かがる」というのではないかと思う。だから本来、このような場合、綴じ糸はかがり糸がただしくて(これは言う言葉だと思う)、綴じ緒がかがり緒がよいのではと思うが、かがり緒って言う言い方には響き的に違和感。
これでそのまま背をボンドなどで固めれば普通の作り。ここでどうしたか、というと、背に貼る和紙にボンドをしみ込ませて固めておいてから、
本自体の背にはボンドなどをつけずに、和紙の方にだけしっかりボンドをつけて、背に貼り込む。一枚目は綴じ緒をよけて、二枚目は全体に、それぞれの紙の目は逆で。
寒冷紗の役割は和紙がしているのでなし。背ばりの紙も開きを阻害するのでなし。後は普通に製本
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