2011年10月 3日|製本と教室|個別ページ| コメント(2)
先週は、茨城大学(教育学部)で、4日間の集中講義だった。学生時代の友人からの依頼でのものなのだが、4年前にはじめてやり、今回は2回目。(先週は、その他、教室の耐震工事やら、小学校に泊まるイベント「オヤジキャンプ」などあってばたばたでした。。。。)
前回は、「紙の目実験」と称して、ボール紙の両面に紙を貼って反りを見る、というのを何種類も(表の紙、裏の紙、芯の紙の目の方向の組み合わせ)やったりして、かなりマニアックな内容+クーラーの無い8月の講義室、という条件で、学生がへろへろだった。終わった後貼ったボール紙を持ってきて「これ、捨てていいですか?」と言った学生の反応が印象に残った。(自分で作ったサンプルは自分の教室で今もとても役立ってるんだけど、普通は不要品以外の何ものでもないよ。。。確かに。)
今回はもう少し全体的に製本や紙を扱った作業を体験して、上手にこなすにはどういう手段があるのかという、実用的に役に立つことを目指した。それと出来上がったものがそれなりに使える方がいいな、と。(これ捨てていいですか、ってはやっぱり言われたくない。。。)
1、蛇腹折りの本(折帖)
2、基本的にそれと同じ造りで普通の開き方の本
3、一折り中とじの本3種類(三つ目とじ、それの応用、ステッチ中とじ)
4、葉書サイズの紙に足と枕をつけてとじたものに角背ハードカバーをつける
5、自著(もっと自由に!手で作る本と箱)の未とじ本を本かがりでとじて、丸背の薄表紙の上製本に
6、その差し込み箱
というような順序でやってみた。写真左から。(今、使いたい色優先、ってクロスなどを選んだら、めちゃ渋な色選びに。。うう。)
さんざん紙定規と幅定規を使って、ひたすら紙のカット、カット、カット。
2冊の自著の中の基本技法のところに書いたことが中心だが、
その後に、カット用の幅定規の作り方や、紙定規の技がより展開したので、作業自体はすごく楽になった。そこも盛り込んで。
製本作業がはじめての人にはなかなか理解がむずかしいのだが、ちょっと自分でやってみたことがある、という人には、「目からうろこでした」と言われることが多い。
そしてこれは、文章と図で説明すると本当にややこしくてわかりにくくなる。実際やってるのを見ながら、自分でもやってみると、「な〜んだ、そいういうこと!」っていう感じで理解できる。そうなんない場合は、「えっ?今どうやったの?もう一回!!」ってなるけど。
このあたりのことは私の本、
『手で作る本』85、86ページ、
『もっと自由に!手で作る本と箱』49、50ページ
を見てみてください。
難しいのは糊と刷毛だ。
ボンド(今回は主として木工用ボンド、必要な部分にSP210N)とでんぷん糊(今回はフエキ糊)とを混ぜて使うことが多い。
刷毛は塗ったり、混ぜたり、(付きすぎたのを)取ったり、といろいろに使えるとても優れた道具なのだが、使いこなすのには、それなりの熟練が必要。
スポンジ刷毛やらペンキを塗るようなローラーならば、慣れてない方にも随分と作業がやさしい。糊は専用のものならとても使いいい。スポンジもローラーも刷毛より工業的に大量に作るのに適してる形だと思う。そしてそれ用に調整された糊を用いれば作業は楽。
(刷毛はちゃんと作られたものでないと、使いにくい。職人がちゃんと作ったものはとても使いやすい。どんな糊の状態でも、水を混ぜたりして使いやすい状態にできるし、作業内容の変化にも応用範囲が広い。ローラーやスポンジ刷毛より私は刷毛の方がいい、と思うが、いつも考えさせられる。)
60人越えの学生達。仕上がりは。。。
何か一つでも「これ使える!」ってことがあれば万歳!って思います。
もしかして、去年も同じように驚いたかも
学生60人ですか それはたいへんだ
しかも実技
一方、座学だけでもつらいでしょうが。
教員になったときに役立つと良いですね
実技は慣れてるので、大丈夫、というか、「体験してもらう」と考えて、「ちゃんと作らせよう」とは思わなくなったので、それなりにできるようになったかなと思います。あとは書画カメラというか、スクリーンに手元を映し出してもらってるので。
一方、しゃべるだけ、っていうのは本当に大変。講義をする方達って本当にすごい。