2011年11月22日|ブログ|個別ページ| コメント(2)
骨盤おこしの先生の初著書を改装中。
頼まれたわけではなく、普通のソフトカバーの無線綴じ(あじろとじ)のものを簡単に糸とじのハードカバーにできないか、と思って、実験。(なんのために改装するかっていうと、一言でいうと本の開きを良くするため。普通のソフトカバー=並製本の本って開きが悪いので手で持ってないと読めないのを糸とじになおして改善しようっていうわけ。)
無線とじの本は1枚にばらして、薄い丈夫な紙でつなぎ合わせて二つ折りにできるようにして、16ページの折丁を構成して、とじなおす、という書くだけでも手間がわかるようなことをするのが、常となっている。
が、あじろとじの場合、結構背の面まで紙が残っていて(つまり16ページの折丁はなんとか原型をとどめている)、これをわざわざ切り離して一枚一枚にしちゃうのがもったえないな〜、って思っていた。
残ってる紙をのこし、背の糊(ホットメルト)をはずしながら、ペーパーナイフで切り開くようにして折丁ごとにはずしていくと、折丁を保ったままばらせたので、そのまま、普通に目引きして、とじなおしてみた。
花ぎれも、単純ながら手編みして、さて、今日仕上げる。
どうなるかな。
このところの撮影などのこともあって、特に「切る」作業を見直した。で、定規をいくつか考えた。もちろん、自分の役にはたつのだが、だからどうした、的なものではある。
でも、多分、考えるのが面白いのであって、それでいいんだ、とある程度割り切ってる。
左は30センチのステンレス尺に同じ厚さの樹脂版をセロテープで貼ったもの。押さえる面積が増えるので、定規がずれにくい。
右は0.4ミリの紙をぴったり二つ折りにして直角を作り、できた辺にぴったりステンレス尺を両面テープではったもの。3角定規なしで、直角が使える。
できる範囲でよく考えて、やる、というのが楽しい。そしてそれはものが売れなくなる方向性であることが多いような。いらないものを作ったり買ったりするのってよくないよな、と思う気分にはあってる。
工夫が得意ですねぇ 本当に
網代を残したまま糸綴じできるか
結果を知りたいです。
背固めをすれば、網代の所に糊成分が入ってくっつくでしょうか?
以前、未綴じ本を著者経由で分けてもらったが
印刷しただけの状態では、16ページ分が二つ合わさっていて、
小さな教室では、切り分けて、折るのも一苦労
で、この著者の次の本では、折った状態でわけてもらいました
しかし、折り機で折るのと同時に網代の切れ目が入っていました(同じ機械でやってしまうようですね)
こちらは結局和紙で全部直してから綴じたのですが、
折の一番外だけでも和紙を入れれば保つか などと考えてみたところです
まだ数冊分、残っているので、こちらでも実験できます。
私もやはり、背に網代の切り目の入ってるものを著者から受け取ってという体験をしてます。それもそのまま本かがりでとじました。
普通の糸とじをよく考えてみると、折丁の一番外側の紙は背固めしてる糊でがっちりととなりの折丁にくっつきます。それより内側の紙(16ぺーじ折りなら3枚)は糸だけでとめられてる状態。糸を全部切ればはずれます。これは丈夫なんだろうか?そして、この外と中が違う状態って、いいことなのかな?という疑問。
対して、網代の場合、折丁の背に深く削りの切り込みを入れることで、糊を中まで侵入させて、一番中の紙にまで糊を行き渡らせ、そのことによって、とじるわけです。糊の質が上がってる昨今かなり丈夫です。しかし、開きは悪くなります。糊の侵入が深いのとくずれを防ぐためにある程度の厚みの糊が背につくため。
本当の丈夫さは、実験してみないと(つまり開閉を繰り返すような)わかんないですが、わたしの感覚的考えでは、洋式の本の場合、やはり、糸とじと糊の協同が、丈夫でながもちの本だと思う。
そして網代をそのまま糸とじみたいなものは、糸は糊で固める前は、ともかく紙にひっかかってそこにあってくれればオーケーで、糊で固めてしまえば、折丁と折丁をつなぐ糸の強度が発揮される。というわけで常識とは逆に、網代になったものを糸かがりしたらかなり丈夫なんじゃないか、と考えます。
今回のは渡した後のこと(使い心地や、型くずれ具合など)をいろいろ聞いてみようと思います。
ykomさんも網代の入った折丁そのままとじ、試してみてください。
私の感じでは、一番外側だけに和紙をはると折りの中まで糊が侵入しにくくなるのであまりよくないのではと思います。糊が入んないとすると、けずりが沢山の状態ですから、普通の糸とじより弱くなるのでは、と思います。