東京製本倶楽部での帳簿製本の勉強会(田中栞さんのブログに詳しい報告が。その前の見学も興味深い。)が数ヶ月前にあって、私の元アシスタントっていうか手伝ってもらってたKさんが参加。私も参加したかったが、別の用事があっていけなかった。そんなことから、Kさんとメールのやりとりをしているうちに、フランスの製本の教科書にでてる帳簿製本のことが話題になったりして、それとの違いとか、そもそも帳簿製本そのものにとても興味がわいた。で、彼女ともう一人、その勉強会を企画した方の一人のTさんと3人で、お互いの知ってることを教えあう、小勉強会のようなことをした。
Tさんはアルバムや、図書館関係の製本をしているナカバヤシとか普通の数ものの製本所にも勤めていたことがあり、本の修復のことも勉強中で、量産の製本のことから手製本のことまで幅広い経験がある。
お互いの帳簿製本のサンプルを見せ、その話をしつつ、本の溝がなんであるのかとか、クータがなんで必要なの、などの本の構造のことなど、いろいろ話す。面白かった。(洋式の本は仕組みがややこしい。それは確かに「理解できると面白いこと」ではあるが、もっと単純な仕組みにならなかったのか、っていつも思う。和本の線装のようなものだったら、図書館での直しなんかももっとみんなができるわかりやすいものになったんじゃないか、って思う。)
15年近く前に教室をやりだしたころ、読めないフランス語の教科書『La Reliure 』Wolf-Lefranc/Vermuyse,Ch.を辞書をひきひき読んだ。その中に、ほんの2〜3ページほど帳簿製本の方法が説明されてて、えーどんなのー?って興味で、その表紙の付け方だけを使って作品を作ったことがある。さらに昔に手描きした絵本をばらして、一枚ごとにマットに収めるようにしてページをつくり、この方法で表紙をつけてみた。帳簿製本の方法で表紙がつけたいばっかりにやってるので、内容と外装の雰囲気が合わない・・・のだが、興味があることをなんとか口実を作って形にする、というのがいつものスタイル。合わないんだけど、合ってる、(と勝手に自分は思ってる、)作品にはなった。
この「本を読んでやってみる」というやり方はいつものことなので、実際はどうやるのかは知らないんだよね。それでいろいろおかしなやりかたになってたり、自己流で実際とは違ってたりっていうのが相当ありそう・・。そしてこの「本を読んでやってみる」っていうやりかたが、よくも悪くも自分の技法書にも反映されていて、そういうことが得意な人にはわかりやすいし、そうでない人にはフレンドリーじゃない本になっちゃってるかもしれない。(得意なことって苦労なくできてしまうから、説明できなかったりする。)
で、今回の小勉強会のために、とりあえず復習して試作してみた。復習といっても中身の綴じをやるのははじめて。綴じは丈夫にするため、綴じの麻テープにも縫い付けている。(写真が悪くてすみません。)
フランス語の翻訳が自信ないはずなのに、今読むと妙に確信をもって訳していて、昔の自分、しっかりやってたな〜と思う。
見せていただいた日本のやりかたのものと自分の作ったもの(一応フランスの教科書のやりかた)を比較すると、溝のあるなし、「バネ」というパーツのあるなし、が大きな違いのように思うが、その意味するところを理解するには、まず日本の方法を試作してみないと。見せていただいただけで、まだやってないので。
どちらにせよ、背がかぱっと外れて、中身がのどまで開く、この帳簿製本というやり方って、手製本でいろいろつかえそうだな〜と思う。
応用ネタをいろいろ考えてみよう。
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