2013年12月 4日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
お久しぶりです。
ぎりぎりまで作業して、今朝オープンできました。銀座のギャラリーおかりやで9日までです。
例によって写真をちゃんととれなくて、これも終わり間際に慌てて撮ったのでぼけぼけです。広いギャラリーをなんとかそれなりに埋めることができました。
さて内容は。
展示の挨拶文をそのまま下にコピーします。今日はとりあえずそれだけ。
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「かげびょうし」と「影表紙」
数年前に友人のチェンバロ奏者から依頼されて「楽譜挟み」を作りました。チェンバロもドレスも美しいのに、楽譜だけがそのまま。舞台映えする何か素敵なものを革でできないか、というリクエストでした。もう一点。チェンバロの音は繊細で、しっかりした革装のものを譜面台に置くと聞こえが悪くなり、演奏の感覚が狂う、というのです。うーん、どうしたものだろう?と考えて思いついたのが透かし彫りでした。音響のことはわからないので、性能的にどのくらい結果がよいかはわかりませんが、アルミパンチングボード(小さい穴が沢山空いたアルミ板)を芯にして、表裏別の柄を透かし彫りにした「楽譜挟み」を、彼女は気に入ってくれたようでした。私自身は、出来上がった時、窓辺にそれを置いてみて、とてもいいなと悦に入っていました。今回はそれを「かげびょうし」と名付けて、バリエーションを作って楽しんでみました。表裏のどちらから見るか、どういう角度で置くか、どんな光の中に置くか、中に明かりを入れてみたり、窓の近くに置いて自然と近づけたり。いろいろな表情が現れて面白いです。
そして「影表紙」。個展がかなり近づいた時に、仙台からいらしている生徒さんから「白石和紙」がもたらされました。これで何か個展に作ってみたら、というのです。東大寺のお水取りの装束の紙衣に使われるとても丈夫で柔らかな独特の和紙です。芯を透明な樹脂板にして光が透けるようにして、革を貼って模様を付けました。これも光をすかすと革が影になり、表情が変わります。シリーズとして同サイズにし、名前は漢字にしました。こんにゃく糊を塗って揉み込んだ白石和紙のやわらかさと東京特産の豚革のすべすべ感のコンビネーションがかなり気に入っています。やりたいアイデアがいろいろ浮かんで、こちらもこれからバリエーションがいろいろ作れそう。
さて、展示を企画していただいたのが約2年前。ふわっと立ち上がるようにお受けしてしまったのですが、製本での作品展というのは、ありそうでいて難しい。依頼がないのに本を改装したりして作品を作る、というのも正直なところできません。本の内容から作っていくということも製本に専念するようになってからは、やっていないです。製本の作家というのは、工芸の作家とはずいぶん違う面があり、一人では成り立ちにくいです。そんな時に思いついたのが、上記の「かげびょうし」です。とりあえず、一人でできることをやってみました。その中に、依頼を受けるということを目的としてこれまで作った製本作品を並べてみたらどう?という画廊のオーナーさんのアイデアで、今回の展示が実現しました。
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