7月24日は夜、ブックアートクロウルといって数カ所のギャラリー、紙漉き所、図書館で展示とちょっとつまめるものや飲み物が用意されていて、そこを歩いて回りました。
Cave paperという紙漉き所がとても印象的でした。古いビルの地下が作業所で、まさに洞窟。
リネンの繊維を使った紙は仕上げに膠を塗ってさらに強度を出しているとのことで、表紙などに使うと丈夫でよいようです。(サンタクルーズのJody Alexanderさんも自分の手帳の表紙にしていました。)
アバカという繊維を使ったうすーい紙もテスト中ということでした。
日本での紙漉きのイメージとは全く違い、かびが多そうな環境で、美しい紙ができるというのも、
全体として低温(冬は最低−40度!)で、日本ほどには湿度が高くない、ということがあるのだと思います。
25日、26日はブックアートシンポジウム。 25日は前日の疲れで参加がちょっと遅れたんですが、 Janne Priceさんという版画家の話、 Daniel E. Kelmさんというすごく面白いアートな本を作るブックアーティストの話、イェール大学の図書館のJae Jennifer Rossmanさんの種々の本のスタイルの歴史と現代の作品とを関連づけた話、Warren Lehrerさんというブックデザイナー+作家+アーティストの語り的なパフォーマンスなどなど。 画像が豊富で、英語が不自由な私にもおもしろい内容でした。下はシンポジウムの話し手たちと(パーティ前に)食事をした時の写真です。
この日はパーティーと授賞式もありました。パーティーは立食で地元らしい食べ物がいっぱい。みんな楽しそうにしゃべっているので、私もできる限りの英語でしゃべりました。着物を着て、足にはいつものワラーチ、そしてワークショップのインストラクター(おかげで参加費も免除!)でもあるので、話題のきっかけはたくさんあり、なんとか誰かとしゃべり続けることができました。とても楽しく、やりきった感がありました。
MCBA賞の方は事前に5人のファイナリストが選出されていて会場にエントリーした本が並んでいました。 一位になった方は私的な事情で出席されていなかったですが、本を見せてもらいながらファイナリストの何人かと話すことができました。Robin Priceさんの作品はたまたま私が今回持って行った自作と作りが似ていたこともあり、一番よく話しました。
26日はTeaching the Book Arts というテーマでディスカッション。何割理解できているかわからないですが30人くらいものアーティストや先生たちが「ブックアート」について、話し合えるなんてすばらしいと思いました。(そして、どうやったら創造性を発揮させられるか、っていうことに意見交換がなされている!)
どんな場面で「Aha!」体験をしたか、というシェアリングがあって、初発言しました。ワークショップで作ったダンボールの作品を持って行ったので、それを見せながら、ダンボールから長方形を切り抜くのに斜めに利用することを思いついた時、ということを説明しました。隣に座ったSheilaさんの「よくやった息子よ!」的な笑顔が嬉しかったです。(まあ、この場面でも大分Sheilaに助けてもらったんですが。)
お世話になった、Sheilaさんはもともと絵描きさんで後から夢についての心理学も学んでいます。ブックアートへの取り組みは、子供たちに見た夢の本を作らせたり、水彩などで偶然できた色や形を使って夢と関連のある作品を作ったり。「ブックアート(本の美術?)」が教えられる科目になっている様子のアメリカ。Sheilaさんのやっていることを見聞きするとあらためて「本」の美術としての側面について考えさせられます。アメリカでは本関係のことの境界の垣根が低い印象。例えば、日本だったら国宝の修復をしている場所へ自分の変な本のアートを持っていくなんて想像もできないけれど、そういうことがアメリカでは別に普通な感じを受けます。
(以下、明日に続く)
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