2016年4月13日|製本と教室|個別ページ| コメント(0)
以下は、2015年の個展「けはいのしくみ」の時の説明文です。
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ルリユール、はフランス語で、製本工芸のことです。アンデパンダンは、独立している、という意味。(束縛をきらう、わがままな、なんていうことも辞書には載ってますね。そのニュアンスも気に入ってます。)
革の表紙は箔押しもして、かなりルリユール的ですが、表紙だけで本文はないのでこのように名付けました。
簡単にいうと、ブックカバーやノートカバーです。
フラップに薄い磁石を組み込み、文庫本やノートを装着できるようにしました(実用新案申請中)。まあ磁石なのでいろいろなものを挟めます。
私のつもりとしては、演奏に使う楽譜を挟むものから展開したので、朗読のテキストを小冊子に作り、舞台などで読むのに使う、というつもりで作りました。
前回のおかりやさんでの展示、かげびょうし(今回もそのタイプのを3点出品)からの流れで、植物紋を使うつもりでした。楽譜はさみは演奏会という晴れの場でその時だけ使うものなので、丁寧な扱いを前提としています。そこで革の切りっぱなしで表現をしましたが、今回のはノートなんかを挟んで持ち歩いて使う、ということも一応視野に入れましたので、そうなると、革の2大古典技法、箔押しとモザイク(革の貼り込み細工)ということになります。モザイクはひとつひとつ貼るから手間なので、数を作ることが容易な箔押しだな、と、安くはない箔押し機を買い、せっせと植物のスケッチを貯め、銅の腐食版をつくり、押してみました。}
でも一目みて、今やりたいのはこれじゃないんだ、とわかりました。革への箔押しでは、版が深く入るため、腐食版のエッジが汚くついてしまい、くっきりした立体感が出ません。そこで立体的凹みかたを美しく表現できることに特化して考え、すぐにできるのは、ハンズで売っている真鍮の丸棒や立方体を使う、ということでした。
すべてを丸と四角だけで表現することになりました。
できることの中からベストを探すのはいつものことなので、植物を使えないのは別に落胆せず、「これだねっ!」と、丸三角四角にどっぷりの数ヶ月になりました。
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