今週の動画は、
カッターマットのこと。
動画を撮りながら気づいて、最後にしゃべってもいるのだが、けっこう「きれい」とは言えないマットなのである。 自分で使う分には、作業中の本を汚さないで仕上げられる、という意識がある。この程度に管理しておけば大丈夫、という意識。これが本当はいいことではないのは明らかだ。
作業中に注意をはらってもはらいきれないことは、しばしばあるので、そうする以前にできることはしておくべき。また、自分は大丈夫でも、生徒さんは大丈夫じゃない、っていう面もある。
30年以上(教室だけでも30年近く)やってきたのに、いまごろそんなことをやってるの、というのはあるんだが(まあ、怠け者なのを棚にあげても)いろいろなことをゆっくりとしか理解しないので、あきらめて、気づいたらやるだけ。 作業台とカッターマットを見直そうと思います。
このことで思い出した、うまくいった大昔の体験を書いておきます。
この定規です(これは手を加えた後、現在愛用してる姿)。
掛け軸を作りたいという生徒さんがいらっしゃって、掛け軸作りを習ってみて知ったのが、長いアクリルの定規。
一般的な紙の最大サイズが四六判(1091×788ミリ)で、そのころ普通に使っていたのが1メートル(つまり1000ミリ)のステンレスの定規だから、長辺を切るのに少し足りない。
掛け軸用の定規はそれよりも長いのが当たり前にあって、今持ってるのを測ると、1002ミリ、1365ミリ、2013ミリの3本。微妙な長さは尺寸の世界だからか?と思ったが、謎。
それはさておき、どれも10ミリ厚、70ミリ幅で重さもそれなりにある。写真は1002ミリのもの。
それで便利に使っていたのだが、製本教室の生徒さんに使ってもらうと押さえきれず、ずれちゃう事故が多発。
アクリルがすべりやすいので、カッターを使うと動いてしまう。
生徒さんから「うごいちゃう、押さえきれない」と言われ、内心「え、そのくらいおさえてくれよ」と思った自分だったが、言われて対策しないのはいけないと思い直し、滑り止めにヌバック(牛革の銀面側を削ってケバを出したもの)を貼ったのだった。
この↓灰色の部分
そうすると、この↓ように、台からヌバックの厚み分浮いてしまう。
それで、焼き入れリボン(左面の黒い金属板)を貼ることにした。すると、台に接地もするし、アクリルにカッターの刃が切り込むのも防ぐことができて、一石二鳥。
最初の目的だった、生徒さんの作業時のずれも全くなくなり、とてもよかった。
だが、なによりも驚いたのが、自分の作業が非常に快適になったことだった。
今や片時も手放せない道具です。
つまり「そのくらい押さえてくれよ」って思ったわりには、実は自分でもとても注意をしながら作業していたのだな、ということに気づいたのだった。楽になってみてわかった。
だれもが楽で快適にできる、ということを目指すと、なによりも自分が恩恵を受けるし、理解が深まると思い知った体験だった。
人にわかるように説明しようとする、ということも一番恩恵を受けるのは自分。
そのための、動画やブログである、と再確認。
もっとフィードバックをもらう工夫が必要なのだが、ともかく続けて行こう。
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