作品と展示
バッハ楽譜改装
2010／改装製本の設計と制作
楽譜挟みにつづいてのマイコ・ミュラーさんからの注文での製作。中綴じになっている楽譜に表紙をつけたもの。
バッハや鍵盤楽器の音楽の数学的な感じとか、そこから繋がっているホールとかスタジオの印象などからイメージを膨らませて、素材から選んでいった。フェノール樹脂のユニバーサル基板の等間隔の穴や銅と山羊のヌメ革の色。プラチナ箔の重い銀色や、焼き色をつける空押しの規則的な配置。元の楽譜の背には紺色の革を加えて糸綴じをしなおして、その紺色の山羊革を表紙のユニバーサル基板の穴に綴じる、ということをした。
革を帯状に使って、背は素通しのところがあったり、素材そのものの穴も、前作同様、音が通り抜けるイメージがある。
既存の製品の特徴を上手に借りることによって豊かな表現になることが魔術的パワーアップな感じがして、それが自分の表現の一つの大きな持ち味となっている。
