2015/表紙の意匠と制作
198×299×7㎜(開いた状態)
山羊革のしぼ(革のしわ模様)の変わりめを直線で仕切ってデザインにしてみました。
アルミの箔押しや革のモザイクの点々でエリアが区切られるとしぼの違いがより感じられてきて、しぼを味わうだけでも、かなり楽しめます。(この写真ではわかりづらいですが。)
ルリユールアンデパンダンは、本と違って中身がないので、衝立のように立てて飾っても自然な感じです。すると、垂直に立ち上がってる重力方向の雰囲気が強調されるように、私には感じられて、面白いです。わりに目に近い所に置いて、しぼを楽しむっていうのも、よいかなと思います。絵を飾りにくい日本の住宅事情にも合う?(それを言ったら、自然物ってなんでも表面を楽しむことができるけど。)
前に「絵を買うってどういう感じなんだろう」って思って、うん十万の絵を買ってみたことが一度だけあります。じんわりじっくりと色とか構図を味わう。みてて飽きない、って感覚になりました。絵が動いてるような感覚にもなる。日本画の絵の具のお菓子のアイシングのような質感が目に「効いて」くる。自分の中に感覚が「にじんで」くる感じ。買ってみたらそうだった、っていうより、そうだったから買った、のかもしれないです。だからそれは「絵を買う」っていう一般化した体験にはなってなくて、「絵に魅せられてしまう」ってこういうことだよ、っていう体験だったんだな。作品を作っているって、素材についてそういう感覚を全開にしてます。
全体の雰囲気から、雪や雫、重力に従う、っていうようなことを感じて、こういうタイトルにしました。