2015/表紙の意匠と制作
165×251×7㎜(開いた状態)
ルリユールアンデパンダン。「けはいのしくみ」展の時の作品。以下は、その時の説明を少し修正しました。
------------------------------
黄色の山羊革にグリーン系の革の嵌め込みと、銀色はレザークラフト用の単純な丸い型の刻印を使って、アルミのフィルム箔を手押ししています。
写真ではあまりわからないのですが、押した時、とても光るのでびっくりしました。確かに金箔にくらべてアルミのフィルム箔はよく光りますが、それにしても、ちょっと光の感じが違ったのです。それで、弟子の時に師匠に聞いた、昔の箔押し職人は、型を少し丸く磨いて、乱反射が現れるようにして使っていた、というのを思い出し、ああ、これ!と。ためしに似たサイズの丸棒を真っ平らに削ってピカピカに磨いて押してみましたが、このような反射は全くなしで、そんなに光らない。これだけでも、もう大発見をしたようなテンションの上がりかたでした。
また、革には傷やむらがつきもの。それを避けてよいところだけを使うのが、工芸的には鉄則だと思います。しかし機能には全く影響しないし、その考えは余り好きではないので、私は、傷の部分を意識してわざと入れて使います。この革には直線的なのと曲線的な、変色がありました。そこで、それに揃えたデザインを考えました。
作業をし終わって型紙をはずすと!!!なんとひっくり返しに模様入れしてしまっていて、見事に変色がもろ見え。落ち込みましたが、こういう思考でデザインを作ってるっていうのもわかると面白いかな、と没にはしませんでした。
できあがった作品をじっとながめていると、怒ってる顔(左の表紙)と、笑ってる顔(右の表紙)に見えてきましたので、そういう名前にしてみました。