もうだいぶ前からニイニイゼミが鳴いている。
ニイニイゼミが鳴き出すと、夏が始まり始めたなあ、と思ってとても嬉しくなる。そうして、かなり暑くはあるのだけれど、爽やかさもある暑さに汗ばむことがすごく気持ちいい。頭の芯に染み入っていくニイニイゼミの声に、まどろむ、そのまどろみが、なんとも言えない懐かしさと、夏への期待とを、全部持っている。ニイニイゼミは、小ぶりで、翅と体は渋く美しい模様で覆われて、一部が透けていて、とてもいい趣味。
写真を撮りたかったのだが、今日はうまく発見できなかった。
子供の頃は、ニイニイゼミは、私の近所にはごく少なかった。いつの頃からか、当たり前の初夏の声となった。
それにしても、この声を、他の人はどう感じてるんだろう。単調な音が少しずつ低くなっていき、息を継ぐよう途切れて、また高いとこからやり直す。単調な声としては、アオマツムシとかクビキリギリスとかがあるが、アオマツムシにはむしろ不快さを感じる。だから、もしかしたら、ニイニイゼミの声にも不快を感じる人がいるのかな、と思ったりもする。今日はアブラゼミも鳴き始めていた。アブラゼミは盛夏のセミ。まさに暑苦しくて嫌だ。瞑想でもする気持ちで聞けば、それとて頭の芯に「効かせる」こともできるだろうが。(そう、なんか治療的な効果とかありそう。)近年、東京でも珍しくなくなったクマゼミは、真夏の真昼間の太陽を感じる声。(2年前にロウギア・ランニングを習いに行った名古屋ではクマゼミがいっぱい鳴いていて、そのリズムに合わせてランニングをしてみたのだった。)
蝉の写真がないので、仕方なく、この間息子の野球の合宿に行ったときにとらえた、ハムシの写真をアップ。
カメノコハムシ
イノコヅチカメノコハムシ
妻がずっと、ジンガサハムシが見たいと言っているので、ヒルガオがあるとチェックするのだが、となりのイノコヅチに発見。名前、多分あってると思うけど。
ところで、芭蕉の「岩にしみいる蝉の声」を検索してみたら、蝉の種類論争があったそうだ。
ここでは、この蝉はニイニイゼミだという結論になってる。なんとなく、エゾゼミとかエゾハルゼミかな、と勝手に思ってた。
でも、蝉が何を意味してるのかわからないというのが、それが論争(ニイニイゼミかアブラゼミか)となるということが「書き言葉」というものの面白さだと思う。「蝉」とだけ書かれていると、俳諧の読みかたを知っている人たちですら、論争になる。書かれた言葉は結局は永遠の謎だと思う。わかるようでいてわからない。
で、どちらの蝉として味わってみても、それぞれ違った味わいがあるな〜と思う。
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