ステンレスの直尺は、前回説明しました。
ノギス(右上)は最近になって使い出したけど、これも腰袋に入れて常に持っている道具になっていますね。動画も作るかな?
つまり今回の動画シリーズは「測ること」から始めました。その中で気づくことがありました。
「本」はシート状の紙とか布、革、などでできていて、だから平面のサイズは当たり前に使っていたけれども、厚みの方はなんとなくちょっと別ものとして扱っていたんだな、と気づきました。
エクセルを使うと、厚さを入力しないことには計算できないので、いやおうなく、厚さを入れるようになります。すると、幅×高さ(=横×縦)という平面のサイズと、厚さという立体方向のサイズを、同じ次元のものとして扱って計算することになった、ということです。
エクセルを使う前は、製本は、
「プラモデルのように組み立てることはできない」
というのがポリシーで、途中、一工程終わってできたもの(例えば、花ぎれなどを貼り終わって仕上げ断ちをした本の中身)を測って、次に必要なもの(表紙の芯のボール紙など)のサイズを出して・・・・というふうに進めていました。都度都度サイズを決めていく、という態度を貫いていた。まあ、現物合わせの連続で進めていく、ということです。
「態度を貫いてきた」などと偉そうな感じで書いてしまったが、今思い出しました。
長年やってきた教室の生徒さんたちは途中でいろいろ思いつくので、作りの展開は変わる、というのが常だったです。ですから、あまり先読みして考えても仕方がなく、必然的に、都度都度になっていたのです。
比べて、今は、大勢の受講者(大学生や高校生)に作ってもらうので、途中の路線変更はなし。だからこう変わった、とも言えます。
以前。
「厚みの変化は貼ってみなければ正確にはわからない、だから予測しない」
今。
「ミリで小数点以下2桁くらいまで入力しておいたら、そこそこ結果が得られるから、それに修正を加えればいい」
というふうに変わりました。
入力して、計算で数値出して材料を全部切っておく。そして実作して、結果と擦り合わせる。何回かやってきて、小数点以下は2桁、あとはどういうふうに数字をまるめるか、みたいなことの「ころあい」を見つければいいんだな、とわかってきた。実質的には、そういうことで有用です。
それはそれとして、くるむ、とか、つつむ、というふうにして、本ってものはできてる、ということに面白みを感じます。
上手に例えられないのだが、膜があることによって細胞ができた、なんていうことを、思い出します。
本の中身は、紙という皮がたくさん重なったパイ生地みたい。それを見返しという皮で挟んで、それをさらに表紙という皮で包む。表紙は「革」や「布」や「紙」っていう皮でボール紙をくるんでできている。皮だらけです。木をくり抜いて重ねたマトリョーシカよりも、いろんな材料があるから少しだけ複雑。
皮で包むと皮の分だけサイズが増えるから、層が増えるとひとつひとつ対応して計算するのは面倒。だけど、エクセルを使えば、シンプルに計算でき、楽で、楽しい。
本を入れる差し込み箱を考えたり、さらに夫婦箱(本を入れる内箱があって、その内箱を入れる外箱があるタイプの箱)を考えても、それらもシンプルな積層の足し算だから、どうということもない。ゆるみをどのくらいに設定するのかを決めて試すだけ。
受注して作ってるものも、測って、計算して試作し、記録をとって修正を加えて、本番作って記録をとって、と踏み跡を残していく、みたいなふうになりつつあります。
そうやっていたら、今まで、気にしてなかった糊ボンドの層の厚みも、このくらいはありそうだな、と視界に入ってくるようになりました。
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