2014年6月 2日|製本と教室|個別ページ| コメント(0)
電子書籍の普及で、そいういうことが言われるようになって久しい。
私は手工製本が仕事だが、そのわりに(それゆえに、か)本が本当に好きなのかどうなのかはよくわからなくなってる。ゆえにあまり、紙の本がいい、と主張する気になれない。
今、アシスタントと一緒にリフォームを頼まれた時の基本パターンを構築中。
それは、糸かがり、ハードカバー、丸背、布装、という、ちょっと以前だったら、ごく普通の上製本。(まあ、花ぎれ手編み、とかやってますけどね。そんなに目立たないけど。)
構築中とは言っても、このスタイルはいろいろのリフォームをやる中で、こんなところかな、と決まってきたもの。
/honnuova_backup/mt/2011/10/post-413.html#comments
/honnuova_backup/mt/2011/11/1913.html
ここ最近では、構造動作の中村考宏先生に依頼されたものをこのやり方で作った。
そして、この方の本は自分でもよく読むし、自分の製本サンプルとしても持っていたいので、今回作ってみた。アシスタントさんとも作り方の理解を共有していこうということで、彼女にやり方を見せつつやってもらった。
で、出来上がると、改めて、うれしいのだ。開いた時の開きやすさ、読み易さが、本の重さや触り心地とあいまって、自分でも驚くほどうれしい。机の上で落ち着いて読める本。
机の上に本を広げて、落ち着いて本を読む、という状況は随分減ったであろう。
電車など移動中の読書は、手に持って読む。文庫本などは机で読むとしても自然と手で押さえるか、手で持つかするだろう。ハードカバー丸背の本でも、手で押さえなければ閉じてしまうものがほとんどではないか。そしてそれはまあ、そんなに問題ではないこと、とも言えるし、私もそう思う。
しかし、この「本を置いて、両手フリー」のうれしさはなんだろうか、とは思うのだ。
電子書籍との対比で、紙の本はやっぱりいい、ということとは別次元のことがあるな、と思う。
コメントする