針の動画をアップした。
自分の使う道具の動画シリーズを作っていて、次は製本で使う針についての動画を、と思ったのだった。
手製本で私が使う針って、ほぼ一種類、本かがりで使う、レザークラフトで使う丸針 細 一択。近頃は、ごく当たり前な手製本をやっていることが多く、本かがりの、内側からの針先の動きを撮ってみたかったのが、次は針!と決めた理由。
非常に限定されたイメージである。
それは撮った。この動き。
しかし、針箱を取り出してみると、すごくいろんな針を使ってきた、と改めて思い直して、多少、そいういうのも加えて(前半)動画にしてみた。口でしゃべっただけだけれど。
左と真ん中辺にある、曲げ針。両端をペンチなどで持って、ガスコンロであぶり赤熱したら曲げ、水に入れて、チュッと急冷して作る。普段使うのは真ん中のもので、綴じ終わった折と折の間の糸に絡めるために曲がっている必要がある。左の細くて小さいのは、綴じ穴と綴じ穴の間隔が狭い時など、通常のが使えない時に作ったと思われる。
ピンヴァイスは、いろんな針を差して使えるホルダー。回転式になっているので、細いドリルをつけて使うととても便利。1ミリや1.2ミリ径のドリルはよく使って、アルミパンチング板からアクリル板に貫通穴を開けるのに使っていた。穴の数が多いと卓上ボール盤の小さいのを使っていた。針から話がそれた。製本で本普通の穴あけは「目打ち」という道具でやることが多いが、好みの大きさに穴を開けたいときは、針の差し替えができるピンヴァイスでなければならない。
長い針は、分厚い本に貫通穴を開けて綴じる時などに使用。普段の針だと刺しても反対側から出ないような時、どうしても必要。
この場合はヴァイスの隣の針のように細い糸で輪っかをつけて使う。この輪っかの中に、麻紐や麻緒などの貫通させる材料を通して、綴じ穴の中をひっぱり抜いて、通す。初期のころこのやり方を知らなくて、麻紐の端をほぐして、刺繍針など穴の大きな針に通して、貫通穴を通そうとして、何度も何度も針を折っていた。
このやりかたを知って、かしこいなーと感心したのを思い出す。
糸を長くつけているのは、今回の動画で見せたようなタイプの綴じで使う、一番よくやっているもの。
綴じに慣れていて、たくさんやるときは、このように糸端に針をつける必要はなく、ただ通せばよいが、現在ほとんどの場合、糸端に針をつけるやりかたでやっている。初心者はそれのほうがやりやすいのと、この糸の取り付け方がちょっと魔法みたいだから。
一番手前にあるのは、中くけ。花ぎれを編むのに使う。4枚重ねの本文の紙を刺し貫くのに、太さと長さがちょうどいい、のだが、この動画は、そこは全然撮っていない(ちなみに「中くけ」が本来どういう時に使う針なのかを知らない私)。
注射器は、ピンポイントでボンドを注入するのに使う。まあ、これも「針」であるということと、これが詰まり気味になった時掃除するのに、昆虫の標本の細い「針」を使うので、ここにも針使いあった、というので入れてみた。紙包の INSECT PINS がそれ。
というわけで、もっといろいろの動画、と思うのと同時に、整理してインデックスにしてピンポイントで見れるようにすることが必要だな、と思ったのだった。
年末、そして年始も、終わらない製本作業を離れ、料理をした。
ネット検索でレシピ、YouTubeで具体的な技術を、いろいろ比較して見つつ、時代変わったよな、と改めて思う。いつからそうなったのか、結構記憶があいまい(クリスマスのローストチキンは料理本への書き込みを見ると2008年が最初。このころは本使ってたな)。
ここ2〜3年、おせちは妻と二人で分業して、作ってる。今年、私は、ごまめ、伊達巻、昆布巻き。八頭、くわい、里芋は剥いたり面取りしたりの下拵え。
おせち以外は、昆布巻き用のソフト身欠きニシンを多めに買ったので、年越しそば用にニシンの甘露煮、舞茸の天ぷら、ツンピン、中華ちまき。
巻いたり、結んだり、など、作業が楽しめるものが多いかな。
去年はじめての昆布巻き作りで、持っていた厚手の、何種類かの昆布を使ってみた。どんな昆布でも煮ていれば最後にはやわらかくなるはず、という予測は見事に裏切られた。まあそれなりに柔らかくはなるが、とろっとしたあの感触にはならず、ぼぞっとする感触が変化しない。いろんな種類が売られていて、それぞれに使い所がる違うというのがよくわかった。
今年はそれを踏まえ、早煮昆布で。すぐに柔らかくはなったが、「まあ普通」の仕上がりだった。いつのころからか、昆布巻きはとても好きな食べ物になっているので、もうすこし「おいしい」 のが作りたい。姪っ子の昆布巻きはシャケ。しっかり噛みごたえがあり、味が良かった。やりかたを聞くのを忘れた。聞いておこう。
ニシンそばのニシン甘露煮はとても好きなので、ニシンがあるついでに作ってみた。煮詰めすぎ?という感じで、カチカチで、味も濃そうな色に煮上がる。が、蕎麦つゆで温めて、そばとともに食べると、適度にやわらかく、味も濃くなく、もう少し甘くてもいいかな、ぐらいになったのが意外で嬉しかった。
伊達巻は、去年初めて、ちょっと嵌って、数回作った。三角形断面の太い竹でできた鬼巻き簾も入手し、焼く枠も手元にある金属板で作って、まあまあにできた。基本、はんぺんと卵をバーミックスでまぜて焼いて巻くだけ。今年は去年を踏まえて、焼き時間、温度を調整した。が、結果はぱさぱさした感じになってしまった。しかたないので、スライス後に砂糖を入れただし汁を染み込ませて「まあなんとか食べれる」みたいな感じに。多分、もともとは山芋、すり身、卵、を泡立ててつくるんだろうな、思った。はんぺんでできる、って誰が思いついたのだろうか。半分ケーキみたいな伊達巻という食べ物、材料の使い方といい、できあがりといい、とても面白いと思う。下の写真の右。
ツンピン(チュンピン、春餅、上の写真の左の二皿)は、昔、実家で集まる時にずいぶん作っていた。昨年、父が亡くなったこともあり、妻が思い出して、作ってみたら?と。レシピは例によってネット。お正月で集まった兄弟家族や母にも喜ばれた。みんな懐かしんでいた。皮は、中力粉を捏ねて、丸く伸ばして作る。胡麻油を塗って2個重ねて伸ばし、フライパンで焼くとふくれて、簡単に2枚に剥がせるのが楽しい。今回は、サイズを伸ばしすぎて、薄め硬めになってしまった。次回はもう少し伸ばしを少なくして、皮を厚手にするといいのではないか、と思った。中身の鶏肉は、昔はゆでたササミだったが、今回は定温調理のむね肉で。三年くらい前に妻が定温調理器を買って、このところはむね肉63度90分が定番。操作に慣れたのでとても簡単にジューシーなむね肉が調理できる。
(道具ってきりがないな。。。。)
そして中華ちまき。これはいろいろがんばろうと思ったわりには、どうなんだろう。
これから蒸すので、どんな味になったのかは、まだわからない。20個竹皮に包んでみたが、ちゃんとした巻き方と糸のかけかたを理解する気力がなく、適当なまま。検索では、いくつか包みかたがありそうだった。製本で各々いろんなやり方があるのを思い出す。
2024年12月26日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
今年のキーワードを3つ、と英語の先生に、聞かれました。
まず、エクセル。
次、レスジョギング(ジョギング量が減って体重増)。
そして、チョムスキー。
と答えました。
エクセルのことは、ブログでも何回か書いた。
(今日は、はじめてパソコンでCopilotに、エクセルのわからなかったことを音声で聞いてみた。ちゃんと会話できちゃう感覚、はじめて味わいました。背景色を交互にする関数の意味、あ〜そういうことだったんだ、ってわかりやすかった。会話が文字で記録もされてくので、あとで振り返って確認でき、これからも遊んでもらおう!と思った。まあ、そんなすごい単純な使い方しか今のところ思いつかないが。新しいChat gptがすごそうだし、来年はもっとAI使うだろうな。)
チョムスキーについてもブログで少しだけ書いたけど、これは、みんなとする読書でしたね。一人で読んでどうなるってものでもない。
4月からの、酒井邦嘉先生の『統辞構造論』を読む、の講座。英語の先生と読んでるのは『On Language』っていう1970年代の本。ヒッポのみんなとは『統辞理論の諸相 方法論序説』(チョムスキー著、岩波文庫)を読み始めた。
こういうのは、amebaでブログを書いていた2021年からやっていたんだな、と今見てわかった。このときはコロナの中で「わからない」ということについて、わーわーはしゃいでいましたね。なんか恥ずかしい。
今は、空気感が変わりました。じっくり味わっています。
今週の『統辞理論の諸相』の輪読で、容認可能性(acceptability)と文法的な(gramatical)は全く別な概念、というのがありました。文のわかりにくさは、やたら長い文で記憶できなくてわからない、などなどいろいろな原因があるけれど、それは「文法的に間違ってる」こととは全く別の概念、である、というのを繰り返し力説していて、はは〜ん!となりました。チョムスキーの繰り出してくる文は「ただしい文法」で書かれているが、長くてわかりにくい。このくらいのわかりにくさは、すらっとくぐりぬけて理解するようでないと、複雑かつ整然とした理論である生成文法の理解へはたどりつかない、だから関係節がたくさんあってそういう意味では「明快な」文は楽勝で読みこなしてね、というメッセージなんだな、と思ったんです。
まあ、それはそれとして、さて、今年はどんな本読んだっけ?という一覧が全然できてなかった、この期に及んで、気づきました(年始にちょっと書いてみたい、何読んでたか)
来年はちゃんとエクセルに(かな?)メモを残して、今年は一年、これを読みました、ってブログでも書けるようにしたいです。
面白かったことはもちろん、理解したことを少しでも、人に説明できるようにしておかないと、全然先に進めない、とわかってきたので。
さて、今日書いた気づきも、動画とブログを週一でやりだした、ということの結果です。
エクセルで作業を記録したり計算をして、結果を再びエクセルで表現したり、動画やブログにして出したり、ということで、やっと多少理解がすすむ、という地道ないとなみですね。続けていきます。
今年も一年、ありがとうございました。
2024年12月20日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
2024年12月12日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
流されるままに、頼まれるままに、いろいろな製本をしてきたけれども、最近もポツポツと、いくつかそういうのが進行中です。
製本は普通は、折丁があって、糸で綴じて、というところから始まるのですが、私に製本を頼んでくる人は、そうではないものを頼んでくることが多く、強いイメージや特殊な要望を持っているので、毎回いろいろと考えねばならないです。それが楽しいです。
今回の試作。
こんなふうにかがり台(自作)で糸綴じするのは、まあ、手製本としては、わりと普通に見えますね。
線装(いわゆる「和本」の糸の綴じ)に見える表紙のする、というのが注文主の希望なのですが、どうかな〜と思いつつも、やってみると意外に違和感がなく、悪くないフェイク感です。
本の綴じの機能としてはこれ↓で足りてますが、見た目が普通(手製本においては、です)で、あんまり面白くないです(同じ試作の逆側の表紙をこの形にして、比較してみました)。
もともとは、下の右側のタイプ(『もっと自由に!手で作る本と箱』(文化出版局、2008年、21ページ)。これは、この本のために考えたアイデアでしたが、注文の仕事で使ったことは、ほぼ無かったです。
一見普通の中綴じですが、折丁が一枚ものの厚紙2枚をテープ状のものでつないで作るのが眼目です。この元の作例はリボンというかテープ状の綴じ緒。そこを紐に変えました。試作を作ってみると、うまく行かないところがでてきて、それを修正すると、またダメなところがでてきて、というのを繰り返して、やっとなんとかなりそうな感じになってきて、それが前記の写真です。
技法書用にアイデアを思いついた時は、けっこういいと思ったのですが、所詮思いつきの段階をあまり出てないということがよくわかりました。生なアイデアのそのままを技法書に載せちゃったなぁと思う一方、十数年たって実際に使ってみる機会がおとずれて、嬉しいです。
また、今年は、大学の実習で、糊を使わず、両面テープだけで作る製本をやったりしたのですが、その過程で、剥離紙というのがあるのを知って使いました。この例ではそれも役立ったので良かったです。
そのうちもっと詳しく書いたりできると思うので、待っていてくださいね。
2024年12月 6日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
2024年11月28日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
この間、餃子(宇都宮で買った冷凍)を食べた時、焼き上がったところで、ラー油がないのに気づいた。買いに行ってたら、餃子が冷めちゃう。唐辛子を油で煮るみたいにすれば作れるよね、と思って、やってみた。うちにある唐辛子類(自宅産の鷹の爪、カイエンペッパー、パプリカ)を適当に入れて(ネギも入れたかな?)煮てみた。
それらしき、赤い色の油ができて辛味もあって、まあ、食べられはしたのだが、やっぱりなんか違っていた。
そのあと数日経ってから、ふと思い出してどうやるのかな?とちょっと検索すると、このページを見つけました。
面白いなー、と思ったのは、唐辛子の粉に水を少量ふって、もんで湿らせておくこと。
これを知って、俄然、やってみたくなった。
アメ横センタービルの地下で買った韓国唐辛子で作ったら美味しそう。
まず、長ネギの青いところ、鷹の爪、生姜、粒山椒を油でじっくり煮て、香ばしさと辛味を油に移す。長ネギの色が変わって、香ばしい葱油になったら、湿らせておいた唐辛子のところにちょっと注ぐ。シュワーっとなる。これを繰り返して、全体に行き渡ったら、ザーッと全量を注いで、シャーーッ、とさせて完成。
これでほぼ全部の水分が飛ぶみたい。あるいは飛ばさなければいけないみたい。
出来上がったのを食べてみると、唐辛子の粉の部分はフレッシュな酸味と旨味がある。鷹の爪の方はかりっとなって辛味がある。このコンビネーションがいいんだな、と思った。
最初に適当に自分で作った時は、細かい粉の唐辛子をダイレクトに油で煮たから焦げて苦味になってしまったんだな、と理解。
サイトで作り方を教えてもらわかなかったら、水を少し入れて揉んでおくなんて絶対思いつかんだろうな、と思った。
ふと思い出したのは、里芋チップス。里芋をたくさんいただいたことがあり、チップスにしたらどうなる?という興味でやってみた。スライサーで薄切りを作ってじっくり油で揚げると、普通のポテトチップスとは違う心地のパリパリ感で、美味しい。以来、持ち寄りの時なんかに時々作るのだが、揚がるのに、けっこう時間がかかる。乾かしてから揚げたら速いんじゃないか、と思ってやってみたら、焦げちゃって全然だめだった。
パリッとするまで出続けるシュワシュワ泡が抜けていく水分で、それが細かい多孔質を作り、パリって揚がるんだな、と理解。
ラー油のシュワーっから、これを思い出した。
こういうことが、料理って面白い。
と書いて「料」と「理」って漢字、食べ物を作るということとちょっと違う印象だな、と思った直後、自分は「料」(測るみたいなこと?数値だよね)も「理」(ことわり、法則とか理屈?)も好きだな、と思ったのだった。
2024年11月21日|ブログ|個別ページ| コメント(0)
前に書いた道具の動画、スタートしました。
第一回目は鉛筆(芯ホルダー)。ファーバーカステルTK9500(上の写真)に3Hの芯を入れる、ってことについての動画です。
多分30年以上使ってる古い色のバージョン(上)はノックする部分をアルミ管でなおして使い続けてます。金文字は剥げ落ち。現行モデル(下)は、ずいぶん色が変わりましたね。昔のトンボ鉛筆と三菱鉛筆の色を思い出させるのが面白い、と思っています。
動画は、週1、月曜の夜にアップしていきます。
そして、来年5月12日(月)に動画講座を始めることにつなげていきます。どんな内容にするか、まだまだ全然未定です。
コロナのときに動画作って気づいたのは、撮る角度変えたり拡大したりできるので、リアル対面で見せきれないような痒いところに手が届く、ということ。それで、自分が一番説明したい「道具ということ」に焦点をあてて、まず半年20数回作ってみようと思います。
一回目の「鉛筆(芯ホルダー)」作っての発見は、自分にとっての鉛筆の最大の用途は点を打つこと、というのと、点は真ん中を見出し易い、ということでした。気づいてかなり嬉しかったです。ここは今まであまり意識化されてなかったことでした。
このように、これからひとつひとつ道具について再考し、自分の腑に落とすことになるだろうと、感じました。
2005年頃、初めての著書『手で作る本』を作っている時のことを思い出しました。全力で「わかりやすさ」を目指しました。それはシンプルに「材料とサイズを明らかにし、手順を可能な誌面の限り詳しく説明する」ということでした。
その後、何年もかけて感じていったのは「わかりやすい」とはまあ、そういうものでもないんだな、ということでしたが。
今回始めた試みも、本を書いた時と同じで、全力で「わかりやすさ」を目指します。自分が気持ちが良く動けて、理路が通っている道具やその使い方を、動画にします。ともかく、まずは、自分本位ですね(著書を作った時と同じで、結果としては、わかりやすくはならないような気がしています)。
第二回は、ステンレス直尺についてをアップします。そのあとのチョイスや順序、まだまだこれからです。いつも泥縄、自転車操業です。
2024年11月14日|ブログ|個別ページ| コメント(0)